こんにちは。
しろあとです。
今回の記事は書評シリーズ。
東野圭吾の『透明な螺旋』を読んでみました。
私は東野圭吾作品が大好きなんですが、その中でも「ガリレオシリーズ」が大好きです。
『透明な螺旋』は、ガリレオシリーズの第10作目になります。
この度、文庫化されたのでさっそく手にとり、ページをめくってみました。
登場人物や作品の特徴を簡単にお伝えします。
大学教授で天才物理学者・湯川学と、警視庁の刑事・草薙は、大学の同期です。
草薙は日々、事件の捜査で忙しい日々を送っているのですが、ありえない難解な事件にぶつかります。
湯川学の助けを得ながら、科学的アプローチを駆使して難解な事件を解決していく、こういった物語です。
私が学生の頃は、『ガリレオ』というテレビドラマがやっていました。
湯川学は「福山雅治」、草薙は「北村一輝」が演じています。
私はドラマからドはまりして小説も読むようになりました。
湯川学という人間は、だいぶ理屈っぽく気難しい性格で、あだ名は「ガリレオ」です。
だから、ガリレオシリーズなのです。
※以下、ネタバレ含みます
この作品、実に素晴らしかった!
湯川学の過去や生い立ち、意外な性格が明らかになったのです。
湯川学の父母は横須賀のマンションで暮らしています。
母は認知症が進行しており、またそれに伴い身体機能も低下しているため、父が母を介護しています。
湯川の父は医師ですが、すでに現場からは離れており、介護に関しては素人同然。
そんな父母を心配して、湯川は横須賀の父母宅に在宅し、介護することになるのです。
しかしこの父母、湯川の実の父母ではないのです!!
幼少期の湯川は社会的養護が必要な子であり、里親に出されて今の父母のもとに育ったのです。
この事実、ガリレオシリーズファンは驚愕だったのではないでしょうか!?
まさか、湯川学にそんな過去があったとは。
この作品中では、湯川の実母「松永奈江」が登場します。
松永は絵本作家です。
過去、母子で生活していた島内千鶴子と園香から慕われていた人物で、物語の途中からは園香と行動を共にして、姿をくらますことになります。
園香は事件の重要な参考人なのですが、なかなか足取りがつかめない。
その裏、実は湯川が糸を引いていたのです。
物語の終盤では、湯川と松永奈江が対面するシーンがありますが、このシーンがこれまでの湯川とはまったく違った情緒的でハートフルなものになっています。
ちなみに、今回の作品は科学的要素が全然ありません。
そういった意味では、異例の作品でもあります。
個人的に好きなシーン
草薙が松永奈江と園香の行方を追っている中、湯川の行動を変に思った草薙が、湯川を詰めるシーンがあります。
このやりとりが、お互いの信念を貫き通す感じがして、とても好きです。
また湯川が草薙に対して、信用してもらえるように頭を下げるところがいいです。
実の母のためならば、恥やプライドも投げ捨てる。
湯川がこんな情に厚い人間だったとは。
これまでのガリレオシリーズを見ると、最終的には人想いなところが垣間見れるのですが、それでもやっぱり冷静沈着、堅物で偏屈な物理学者という印象が強いです。
そんな印象が一変するような、熱いシーンです。
映画化を期待
東野圭吾のガリレオシリーズは大人気で、これまでもたくさん映画化されてきました。
直近だと
『沈黙のパレード』
という、完全黙秘(かんもく)をテーマとした作品が映画化されました。
『透明な螺旋』もきっと映画化されるのではないでしょうか?
もし映画化されるなら、作品中の横須賀や南房総といった綺麗な海のシーンがぜひとも見たいですね。
リゾートマンション、児童養護施設、コーヒーがうまい喫茶店、バーといったスポットも出てくるので、どんな形で映像化されるのか楽しみです。
科学的要素がないのがやや残念ではあります。
それでも湯川が人と触れ合い、ときには対峙する場面も見どころになるかと思います。
しろあと
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