こんにちは。
しろあとです。
今回は作品レビューです。
2025年9月12日(金)に公開された映画『ブラック・ショーマン』を観賞してきました。
超有名ミステリー小説家・東野圭吾の新シリーズ『ブラック・ショーマン』がこのたび映画化され ての公開です。
私は元々、東野作品をよく読んでいましたが、ブラック・ショーマンは未読でした。
公開に先立って急いで原作小説を手に入れて読了し、映画を観賞してきました。
主演・福山雅治、相棒役・有村架純という豪華布陣での作品です。
簡単なあらすじ(※ネタバレ含む)
有村架純演じる神尾真世(かみおまよ)の視点で物事が進みます。
神尾真世の父・英一が田舎町の実家にて、何者かに絞殺されるところから事件は始まります。
英一は地元中学の国語教師、田舎の狭い世界であるため、真世の担任は実の父である英一でした。
英一の死をかぎつけた、福山雅治演じる元マジシャンの武史は、警察だけに捜査を任せてはいられず、その独特の感性、人間観察力、嘘を見抜く力、奇術力など元マジシャンの力を存分に発揮しながら犯人を捜していきます。
実の父を殺された真世も、武史についていくことを決断し、2人で捜査に乗り出すというのがおおまかなあらすじです。
真世は30歳前後の設定で、職場同僚の婚約者がいます。
たまたま同窓会で地元に帰省するかどうかというタイミングで父が亡くなり、通夜と葬儀、同窓会が一挙に行われていきます。
それら行事の中で武史と真世が捜査を独自に進めていくことになります。
所感(※ネタバレ含む)
原作、映画ともに大満足でした。
基本は原作に忠実に物語は進んでいくのですが、設定やラストがところどころ変更されていました。
以下、印象的だったことをメモ書きしていきます。
◆原作ではマジック要素が少なめ、映画はマジック要素が強め
原作はこれといったマジックアイテムが出てきませんでした。
小説表紙には、いかにもなトランプカードがあったのですが、本編にカードを使ったトリックはありません。
一方、映画ではマジックで使われるようなトランプカードがところどころギミックとして出てきます。
また武史の癖としてなのか、コインを手指の根本に挟みこみ、くるくると隣の指へと動かす仕草が何度か見受けられます。
◆武史の傍若無人っぷり
原作において、武史は人の目を気にしないゴーイングマイウェイっぷりが発揮されています。
姪に無心したり、警察官を欺いて見せてたり、強気なハッタリをかましたりなどしています。
映画でもそういった傲慢な一面が所々見えるものの、最後は鮮やかに締める姿がかっこいいです。
◆原作どうりに進んでいくが大きな変更点もある
基本的なストーリーは原作そのままですが、大きな違いも見受けられます。
まず最初に気がついたのは、真世の友人である本間桃子です。
桃子は旦那と不仲状態で、旦那と英一は教え子の関係です。
こじれた関係を知った英一は、東京駅近くのホテルで桃子の旦那と落ち合う約束をします。
その後、東京から帰宅した英一が、犯人に殺されるという展開です。
原作において、桃子はたまたま開催される同窓会に出るためだけに一時的に帰省しているだけです。
しかし映画では、現場保存のため生家を追い出された武史と真世が宿泊する旅館の仲居さんです。
また、原作では警察官と武史、真世がよく打ち合わせをする喫茶店があるのですが、映画ではその描写はありませんでした。
◆見どころ満載のロケ地
原作では名もなき町として、ザ・田舎といった描写が豊富でした。
その点は映画でも踏襲されています。
温泉街のような街並みで、紅葉が鮮やかでとてもキレイな画がたくさんありました。
また、町おこし事業として大人気マンガの幻脳ラビリンスとのコラボ「幻ラビ」ハウスの建設予定地から、町を見下ろすシーンがたくさん出てきます。
紅葉がとてもきれいなシーンなのですが、よくよく見ると石垣のような壁がみられます。
私は最初、鳥取県米子市にある米子城ではないかと思いましたが、実際のロケ地は岐阜県にある苗木城跡でした。
とてもキレイだったので、いつか必ず聖地巡礼したい、そんなワンシーンでした。
◆ドラえもん
原作ではしばしば作中の登場人物を、ドラえもんに出てくる人物で例えていました。
たとえばプロ漫画家になった釘宮克樹は、学生時代のその地味さからのび太。
父親の建設会社を継いだ柏木は、その傲慢さや理不尽さ、時に発揮するリーダーシップからジャイアン。
柏木の建設会社と仕事面で懇意にしている銀行勤めの牧原はスネ夫。
学生時代から何もかも完璧で、IT企業のスタートアップに成功したエリート杉下は出木杉。
その他、九重梨々香は一瞬しずかちゃんに例えられるなど、ドラえもんでいえば誰に当てはまるかというのが、原作にはありました。
ですが、映画ではドラえもんネタはありませんでした。
映画におけるアニメネタといえば、小暮警部を前にした武史が、「これが目暮警部だったら~」と名探偵コナンに触れたことくらいでした。
ちなみにジャイアンに例えられた柏木を演じたのは木村昴で、本家ドラえもんでジャイアンの声を担当しています。
ジャイアンの声の人が、ジャイアンっぽい人物を演じているが面白いです。
◆犯人解明シーン
武史が真世の同窓生ら一同を出身中学校に召集し、犯人解明にうつります。
武史が原作通りに推理にうつり、犯人は釘宮克樹であることを指し当てます。
原作では武史が警察にあらかじめ、教室から飛び出ていった人物が犯人だ、と伝えてありました。
教室から飛び出た釘宮を待ちかまえていたのは警察で、その場で取り押さえられる結末です。
映画では大きく変わっています。
教室から釘宮が飛び出すところまでは一緒なのですが、警察は待ち構えてはおらず、その足で向かった先は屋上です。
なんとそこから飛び降りて、投身自殺を図ります。
実際に身を投げ出すものの、地面が覆い隠れるほど降り積もった紅葉の下には、地面いっぱいに広がった超巨大マットが敷き詰められています。
釘宮はフカフカマットの上に着地し、傷ひとつない状態です。
死に損なった釘宮を見下ろす形で武史らが近寄り、ラストシーンへと向かっていきます。
◆トラップ・ハンドでのラストシーン
ラストシーンは武史が恵比寿で経営するバーが舞台です。
事件のその後として、真世と武史が事件について振り返るシーンです。
私はこのバーでのラストシーンが一番お気に入りです。
作中では、真世の婚約者である健太が浮気しているとのタレコミが、真世のスマホ端末に入ってきます。
当時の元カノからなのか、利害関係者による嫌がらせなのか判明はしませんが、真世は健太に関するこのメッセージについて、終始思いを巡らせていました。
結局、真世と健太はその辺りの疑念を開示することなく、結婚に向けて式の準備を進めていくことに。
ここで武史が気を利かせます。
何の気なしに真世をバーのテーブル席に座らせます。
そしてテーブルクロスを引いたその上に、ワインを2杯用意します。
武史は鮮やかなテーブルクロス引きを披露。
そのテーブルクロスを真世の真正面に暖簾のように広げています。
真世は何のことかわからず、ひらひらと揺れるテーブルクロスを傍観するのみです。
武史がテーブルクロスを手元に回収したその瞬間、そこには着席した健太の姿が。
武史は、
「あとは2人でゆっくりと話合えばいい」
と告げ、健太に対しては
「今のタネは秘密にしておいてくれ」
とだけ言い残し、バーの出入り口まで向かいます。
ここで作品が完結です。
原作を読んでいてもかなりいいシーンですし、そのシーンが映画でも完璧に再現されていました。
マジックもすごいですし、去り際の武史のセリフも振る舞いもかっこよすぎます。
ただ一つ難癖つけるとすれば、映画では健太の女関係で真世が悩んでいることが伝わりにくいです。
ほんのワンシーンだけありましたが、ラストシーン演出までの振りとしては弱すぎます。
原作では真世がもっと健太の異性交遊関係について悩むような描写があったため、ラストシーンで鮮やかに伏線回収といった感覚がありました。
映画だけ観た人は、いまいち繋がりがわからなかったのではないかと思います。
映画でももっと真世が女関係で不安になっていることを、アピールしてもいい気がしました。
◆スリやコールドリーディングのシーンがいい
さすが元マジシャンです。
マジシャンらしいシーンがたくさん見られます。
警察手帳やスマホをさりげなく抜き取るシーンや、まったく躊躇することなく隠し撮りや盗聴する様子は圧巻です。
特にすごいのがコールドリーディングです。
コールドリーディングとは簡単にいうと、相手に関する情報についてしったかぶることで、さらに相手から情報を引き出していく手法です。
武史は相手について何も知らない状態であるにもかかわらず、持ち前の鋭い観察眼と度胸で堂々と対話し、あたかも当然かのように情報を引き出して手玉にとっていきます。
マジシャンというよりメンタリストといったほうがしっくりくるかもしれません。
◆木村昴が演じる柏木のジャイアン感
真世の同級生でガキ大将キャラの建設会社経営・柏木は、あたかもジャイアンみたいな風貌です。
そして柏木を演じるのは、声優の木村昴。
なんとドラえもんのジャイアンの声の人です。
原作でドラえもんによるたとえがたくさんあったからのキャスティングでしょうか(笑)
映画では柏木がジャイアンに見えて仕方ありませんでした。
風貌もジャイアン、声もジャイアンでした。
テーマ曲・幻界
映画には主題歌というものがあります。
エンドロールで流れるやつです。
ブラック・ショーマンの主題歌は、福山雅治による「幻界」です。
この曲がめちゃくちゃかっこいいんです。
歌詞はいっさいなく、ところどころ福山雅治が、「ラララ~」と口ずさんでいます。
アップテンポな曲調が耳に心地よく、自然とテンションが上がってきます。
「またあの曲を聴きたい」
いてもたってもいられず映画鑑賞後、YouTubeミュージックで探してみたら、なんとあるではないですか!
今でも聞きまくっています。
ブラック・ショーマン新シリーズ
東野圭吾原作の作品は、やっぱりハズレがありません。
ブラック・ショーマンはまだ生まれたばかりのシリーズなので、今後どのように話が進んでいくかとても楽しみです。
ちなみに原作は2冊目が出版されています。
私もさっそく手に取って読み始めています。
評判や口コミによっては、2作目の映画化も十分ありえるだろと思います。
今後の原作展開や映画続編にも期待が膨らみます。
しろあと

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